一堂に会することなく、株主総会(社員総会、評議員会)を開催したい
1.株主総会は一堂に会する形で開催する必要はありません
株主総会といえば、株主総会開催場所である会場(物理的に存在する場所)に、取締役等の役員と株主とが、一堂に会する形態を思い浮かべる方が多いかと思います。
しかしながら、株主総会は、必ずしもこのような形態で開催しなければならないものではありません。
取締役等の役員や株主が、株主総会開催場所である会場に出向かなくとも良いようにするための方法が、次のとおり、複数用意されているのです。
(1)ウェブ会議、テレビ会議、電話会議等により出席する方法(2)書面投票または電子投票により議決権を行使する方法(3)代理人に出席してもらう方法(4)株主総会(社員総会、評議員会)決議を省略する方法
それぞれの方法について、以下に要件などをご説明致します。
なお、合同会社の場合、定款に別段の定めがある場合を除き、業務は社員(業務執行社員を定めた場合は業務執行社員)の過半数をもって決定すれば足りますので、決定に際して社員が一堂に会する必要はありません。
2.ウェブ会議、テレビ会議、電話会議等により出席する方法
取締役等の役員や株主は、株主総会開催場所である会場(物理的に存在する場所)に出向くことなく、ウェブ会議、テレビ会議や電話会議等の手段を用いて株主総会に出席することができます。
この方法により出席した株主は、審議に参加し、議決権を行使することもできます。
ただし、株主総会開催場所と出席者との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている必要があります。
すなわち、出席者の音声が即時に他の出席者に伝わり、出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていなければならないのです。
またこの場合、株主総会議事録には、ウェブ会議等により出席した役員や株主については、ウェブ会議等により出席した旨を記載する必要があります。
なお、株主総会議事録には、株主総会開催場所である会場として、物理的に存在する場所を記載しなければなりませんから、株主総会開催場所として物理的に存在する場所を指定せず、バーチャル空間のみで行う方式の株主総会(バーチャルオンリー型株主総会)は、現在のところ認められておりません。※
そのため、役員や株主の全員がウェブ会議により出席する株主総会を考えておられる場合であっても、Zoomにより発行されるウェブ会議のURL等を株主総会開催場所とすることはできず、本店所在場所や役員等の一人がウェブ会議に参加する時に利用する場所の住所等を、株主総会開催場所と指定して対応することになります。
※[2021/06/10追記]産業競争力強化法の改正により、経済産業大臣及び法務大臣の確認を得た上場会社では、バーチャルオンリー型株主総会の実施が可能となります。
以上の内容は、一般社団法人の社員総会、及び、一般財団法人の評議員会についても、同様に当てはまります。
3.書面投票または電子投票により議決権を行使する方法
会社が株主総会の招集を決定する際に、書面投票(書面による議決権行使)を認めることで、株主は株主総会開催場所である会場に出向かなくとも、書面(議決権行使書面)を会社へ提出することによって議決権を行使することができるようになります。
会社が書面投票を認める場合には、株主総会招集通知の際に、株主に対して、株主総会参考書類(議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類)及び議決権行使書面(株主が議決権を行使するための書面)を交付します。
同様に、会社が株主総会の招集を決定する際に、電子投票(電磁的方法による議決権行使)を認めることで、株主は株主総会開催場所である会場に出向かなくとも、議決権行使書面に記載すべき事項を電磁的方法により会社に提供することによって議決権を行使することができるようになります。
会社が電子投票を認める場合には、株主総会招集通知の際に、株主に対して、株主総会参考書類を交付し、議決権行使書面に記載すべき事項と同様のものを電磁的方法により提供します。
電子投票として、議決権行使書面に記載すべき事項を電磁的方法により会社に提供する方法は、上場企業では会社が用意したウェブサイトに株主がアクセスして行う方式が通常ですが、株主の数が少ない中小企業であれば、メールの送信等で対応しても問題ないものと考えます。
なお、書面投票や電子投票によって行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に参入することになります。
以上の内容は、一般社団法人の社員総会においても同様に当てはまりますが、一般財団法人の評議員会では、法令上の規定がなく、認められておりません。
4.代理人に出席してもらう方法
株主は、代理人を選任することで、株主総会開催場所である会場に出向くことなく、代理人に議決権を行使させることができます。
この場合、株主は株主総会ごとに代理人を選任し、その委任状を会社に提出しなければなりません。
他方で、会社は、代理人として2名以上を選任することを制限したり、代理人資格を株主に限定することができます。これらは、通常は定款にその旨の規定を置くことが多いかと思います。
以上の内容は、一般社団法人の社員総会においても同様に当てはまりますが、一般財団法人の評議員会では、法令上の規定がなく、認められておりません。
5.株主総会決議(社員総会決議、評議員会決議)を省略する方法
取締役や株主が議題を提案し、この提案について株主の全員が書面や電磁的記録により同意した場合には、この提案を可決する株主総会決議があったものとみなされるので、株主総会そのものを開催する必要がなく、役員や株主が一堂に会さなくともよいことになります。
株主が同意した際の書面や電磁的記録(メール等)は、会社本店にて10年間備えおく必要があります。
株主の数が少ない中小企業であれば、この方法を利用することができる場合が少なくないものと考えます。
ただし、この方法を利用して株主総会決議を省略した場合であっても、株主総会議事録を作成しなければならないことには注意を要します。
以上の内容は、一般社団法人の社員総会についても同様に当てはまります。
一般財団法人の評議員会についても、ほぼ同様に当てはまりますが、議題の提案ができるのは理事のみであり、評議員は提案できないこととなっております。
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